面白いビジネス書とは?「世間である程度、認知された主張の後追いを実証するビジネス書の価値は?その実証済みの本、定番の本だけを読んでも人生では勝てない!」

どうも、武信です。(No900)

 

僕と知人との議論を基に、今回のブログをまとめました。

 

タイトル通りの内容になります。

 

「世間である程度、認知された主張の後追いを実証するビジネス書の価値は?」というのは、タレブさんの「身銭を切れ!」という本がきっかけで思い浮かびました。

 

「身銭を切れ」

 

この本の主張は簡単に言うと、「身銭を切らないと、いろいろな面で負の影響が出る」です。

 

例えば、「身銭を切らないと、愚鈍になるし、身銭を切らない人のシステム設計は複雑になり、最終的に崩壊する。身銭を切らない人は痛みがないので、学ばない。誰が信用に値するか?身銭を切る人だ!」などになります。(他にもたくさんあります)

 

この主張の一部に、薄々、僕は気づいていました。

例えば、株式投資家であれば、自分の金だからこそ、本気でやります。

 

負けたら、自分の金がなくなるからこそ、必死であり、そのためには自説やポジションを見栄など気にせず、簡単に変えます。

 

それに対して、国の事業は他人の金(税金)なので、そこまで必死ではないので、垂れ流し、誰も責任を取らず、失敗が多いのです。

 

こういう発想があれば、「身銭を切っている人こそ、本気でやるし、そういう人の意見を聞いた方がいい」ということにつながります。(これも本の、身銭を切れの主張の一部に過ぎません)

 

で、僕でさえ、このことにタレブさんの著書を読む前から気づいており、多くの人も認識していたと思うのですが、「それを改めて実証したのがタレブさんであり、功績がある、意味がある」ということになります。

 

学者や研究者、ビジネス書著者としては、そういう当たり前の主張でも、一定の価値はあると思いますが、スピード重視の現場や経営者目線でいえば、実証を待っていては遅すぎるので、実証されていなくても、ある仮説を立てたら、試行錯誤して実行し、それが競争優位になることもあると思います。

 

こういう主張を僕が言っても、知人は「いや、実証は大事だよ。実証済みのことしか、自分は実行しないよ」とまで言うので、「本気かい?」と思い、この記事を書きました。

 

また、「その実証済みの本、または定番の本だけを読んでも人生では勝てない!」ということも主張していきます。

 

追記です。

 

タレブさんの本を序盤、読んだだけで「この本、読む価値があるのかな?」と思い、知人と議論になりましたが、後に、もう少し読んでみると、タレブさんの主張はもっと多様であることが分かりました。

 

知人に読書の感想を聞いたら、「ずっと前に読んでおり、内容をよく覚えていない。覚えているのは「身銭を切らないと本気でやらない」という点。また、当たり前のことが書かれていても、実証されることに価値がある」と言っていたので、この記事が生まれたのです。

 

ですが、記事をある程度、書き終わった後、改めて本をけっこう読むと、「タレブさんは当たり前のことを実証しただけじゃなく、まだあまり気づいていないことにも多く触れているぞ!」、と気づき、知人がタレブさんの本を読んで、ほとんど覚えていなかったことから、ある疑念も生まれました。(さらに、実は実証ではなく、タレブさんの本はエッセイ系だったことが判明しました)

 

記事の途中までは、まだ本を読了しておらず、僕の思い込みと、知人との議論で生まれた記事だということは理解してください。

 

その点についても付け足したので、興味がある人は続きをお読みください。

 

1 実証済みのことしか信じず、実行しないことの愚かさ。

 

まず、「実証済みのことしか信じず、実行しないことの愚かさ」を解き明かしたいと思います。

 

知人とは正反対のポジションが、僕です。

 

そもそも、世間に発表される論文、本にせよ、「実証されたという点で価値がある本は多い」でしょう。

 

世間ではある程度の人達が、薄々感づいていることを、改めて実証したことで「お墨付きが与えられる」わけです。

 

これとは逆に、面白いビジネス書というのは「世間で定説と思われていたことを覆す実証をした本」になります。

 

これは、定説とは逆の主張なので、定説を信じて使っていたら、損失になってしまうので、「本当にその定説に逆らう主張は正しいのか?」、確認したくなります。

 

こういう定説に逆らう本は、面白いビジネス書だと僕は思います。

 

面白くないビジネス書は、「定説どおりの当たり前のことを改めて実証した本」になります。

 

なぜかというと、定説通りの、または薄々気づいていた主張なんて、スピードが命の経営の現場、または経営者なら、とっくのとうに取り入れている可能性があるからです。

 

最先端を行く経営者からすれば、自分たちがやっていたことに「今更、お墨付きがついたのか!」という程度の認識です。

 

で、「実証済みのことしか信じず、実行しない人がなぜ、愚かなのか?」といえば、実証を待っていたら、「スピードが重要なビジネスの世界で負けるから」です。

 

これに対する知人の反論は、「イノベーターは負けることが多く、アーリーアダプター程度の立ち位置で参入するのが賢い」ですが、それはその通りです。

 

ですが、僕がしたいのはそういう「競争の参入の話だけ」に限りません。

世の中は複雑系です。

 

まず、将棋の話をします。

 

知人は、「将棋で定番となった戦法が後で、覆されて、間違っていたとなるケースがある」と言っており、だからこそ、「実証された戦法が大事」と言います。

 

しかし、将棋の世界でも、定番の戦法を疑う棋士もいて、そういう人こそが、勝ち上がります。

 

経営で言えば、「世間では知られていない勝ちの戦法・ノウハウを自社だけが知っている」ことになり、競争優位になります。

 

将棋は廃れ流行りが速い世界であり、流行りの戦法も変わります。

 

かなり昔に使われた戦法が、現代に蘇ることもあります。(棋聖戦のときです。藤井くんと渡辺さんが戦っていた勝負。最年少棋聖の誕生です)

 

つまり、「試行錯誤・疑う精神が大事であり、誰かの実証なんて待っていられない世界」なのです。

 

将棋のような狭い世界でさえ、このようになっているのに、世の中・人生なんてもっともっと複雑です。

 

それこそ、「まだまだ実証されていない、世の中に知れ渡っていない、主張や理論など山のようにある」と思われます。

 

だからこそ、「実証を待たずに、試行錯誤し、疑い、独自のノウハウ(後で実証される)を築いた人ほど、競争優位に立つことができる」ので、僕は「実証された主張だけを信じ、実行するのは本気なのかい?」と問いかけたわけです。

 

「実証された主張だけを信じ、実行する」とは、「誰かのパクリ・二番煎じ手法だけで、勝負する」とも言い換えられます。

 

もちろん、それをいつまでも続けられればいいですが、結局、パクリや二番煎じは独自に生み出したモノじゃないじゃないので、模倣も完璧ではなく、どこかヌケモレがあります。

 

独自に生み出した先駆者たちは、試行錯誤して生み出したわけですから、それをさらに改良していくのも比較的、容易です。

 

それに対し、パクリ・二番煎じ側は、模倣すら完璧じゃなく、「それを改良しろ!」と言われても本質・根幹が分かっていないので、難しいとなるのです。

 

パクリ・二番煎じ戦略の限界でもあります。

 

また、「実証済みの主張を信じ、実行する」で成果が上がるのは、日本の高度経済成長期などの「予測や未来が見えやすい時期」です。

 

右肩上がりに成長し、「売ればある程度、当たる」のであれば、試行錯誤、疑う精神もそこまで必要なくなります。

 

または、試行錯誤で、疑い、経営のスピードが重視される世界というよりは、「資金量などの体力勝負、またはある程度、決まったストーリーを愚直に正確に速く実行する高学歴の人達が活躍する世界」です。

 

こういう世界は、実証済みの主張を信じ、実行していても遅れを取らなかったのです。

 

しかし、時代はどんどん激変し、VUCAの時代に入り、先が見通せません。

 

そんな中で、実証済みの理論や主張を待ってから、それだけを実行していたのでは、ライバル達に先を越されます。

 

2 定番の本だけを読んでも人生では勝てない。

 

これに追加して、「定番の本だけを読んでも人生では勝てない点」について言及します。

 

「実証済みの本だけを読んで、実行する」に近い主張であり、定番の本だけを読んでも人生では勝てません。

 

定番の本は「実証済み、または基本中の基本」が書かれています。

 

そんな本だけを読んでも、ライバルに差をつけられるわけがありません。

 

また、世の中は複雑系であり、定番の本をたとえ100冊読んだとしても、細かい、基本・定説から外れた状況はたくさん訪れます。

 

その度に、応用を利かせて対応したり、ときには定説から外れたことをやるなど試行錯誤が必要なときもあるのです。

 

世の中の複雑さに、定番の本だけ読んで、太刀打ちできると思わない方がいいのです。

 

本当に強い人は、「自分の中に実践で培われた、たくさんの理論やテクニックを持っている人」です。

 

しかも、そのたくさんの理論を応用したり、使い分けたり、さらに新しい理論を生み出すこともします

 

これに対し、いつも決まり決まった理論やテクニック、フレーズしか使わない人は成長がありません。

 

時代や状況が変わった時、「あれ、前より、効かなくなったなぁ」と気付けるか?も怪しいです。

 

また、世の中は「裏技を使った人達のおかげ?」で進歩します。

 

選挙をハックしたN国党の立花孝志さんの影響で、いろいろと選挙のシステムで見直された面があります。

 

裏技で出し抜こうとして、それが一時的に成功することもけっこうあります。

 

裏技が世間に認知されて、なおかつ政府などが対策するまでは、通用するからです。

 

世の中、裏技を使いまくり、一時的にでも競争優位を築く人達で溢れており、それこそ、「実証されたことだけを信じ、実行する」とは真逆の世界です。

 

3 追記。

 

タレブさんの主張は当たり前のことばかりを述べて、単に実証しただけじゃなく、もっと多様で、まだ定説になっていないようなことも述べられていました。(正確には実証というより、論文を参考にしてまとめあげたエッセイみたいな本だと後で気づきましたが、記事自体を修正するのが困難なのでこのままにします)

 

しかし、知人は本の内容を細かく覚えていないのです。

 

ここから、以下の疑念が生まれました。(前から、思っていたことです)

 

さて、戦略図鑑という本に対して、僕は4.5点という高い評価を下しました。

 

「戦略図鑑」

 

理由は、「イラストを多用して、たくさんの戦略の理論・概念を、かなりの短い文章だけでまとめ、理解させるように仕向けていた点が画期的だ」と思ったからです。

 

要するに、タレブさんの本や、「経営改革大全)(180ページまで読了。431ページある)など、分量がやたらに多い本は、「定着した率が1割、2割が当たり前の世界」ということを言いたいのです。

 

「経営改革大全」はまだ途中までしか読んでいませんが、確かに中身は頭のいい人が書いた文章であり、濃いのですが、文章は冗長で、正直、僕の定着率は1割です。

 

ちなみに、理解率(本の内容を理解できた)は、「経営改革大全」の場合、7割ぐらいはありますし、戦略図鑑に至っては8、9割ぐらいまで上がります。

 

理解率と定着率は分けるべきですね。

 

この本を要約したり、まとめれば記憶の定着率がもっと上がるでしょうが、そこまでの手間をかけるかは今のところ不明です。

 

また、知人もタレブさんの本を読んだと言いますが、おそらく定着率は1割ぐらいで、細かい点はほとんど忘却の彼方でしょう。(理解率は7割ぐらいですかね)

 

「こういう読書は意味があるのか?」と僕は疑問に思うのです。

 

それに対し、戦略図鑑は、知人は2.5〜3点と低評価をつけましたが、理由は「文章にすらなっておらず、既知のことばかりであり、読む価値がほとんどないから。イラストも幼稚だ」、というものでした。

 

僕からしたら、「ホント?」と思います。

 

僕は「戦略図鑑」は、本や理論の重要箇所だけをコンパクトにまとめており、良い復習になりましたし、気づきも多かったですし、何より定着率が7割ぐらいでした。

 

文章が短く、吸収させる効率が段違いであり、「使ってナンボ」のビジネス書であれば、定着率1割の本より、一度読むだけで定着率7割ぐらいまで上げる「戦略図鑑」は良書だと僕は評価をしました。

 

確かに、「戦略図鑑」は、1冊の本のほんの一部しかまとめておらず、深くは学べません

 

しかし、「たくさんの本の重要箇所だけを効率よく学び、いろいろな理論があるのだなと知るには最適の本」です。

 

また、結局は要約や重要箇所しか覚えていない、またはアウトプットできない場合も多く、効率の面から言ったら、要約や重要箇所を読むことは効果抜群です。

 

ですが、以下の記事にも書いた通り、膨大な無駄があってこそ、深い理解に至るのも事実です。

 


 

 

僕が「戦略図鑑」の本で、感銘を受けたのは、元々、経営戦略の本を広範に読んでおり、それをギュッと圧縮した要約や重要箇所だらけで、短い文章で理解させる技能に衝撃を受けたからです。

 

もしかしたら、まったくの戦略初心者は、「戦略図鑑」を読んでもピンと来ない可能性、価値が分からない人もいるかもしれません。

 

これは、人によって理解度が違うと思うので、興味がある人は実際に読んでみてください、としか言えません。

 

さて、そもそも、参考書にせよ、1冊を完璧に覚えるのはかなり大変です。

 

本も、1冊を完璧に頭に叩き込むのはかなり大変な行為であり、「戦略図鑑」のような比較的簡単な本でさえ、僕の定着率は7割程度だったのに、「知人は10割理解した?または覚えた?、またはそれ以上のこと、本以上のことが言える」と豪語するのです。

 

タレブさんの本を、知人は評価していましたが、ほぼ内容を覚えていません。(たった1文を覚えていただけ。しかもその解釈も間違い。さらに実証した本というが、エッセイ系の本だった。つまり、本の内容なんてまったく覚えていない)

 

いったい、「ただ読んだだけで、使わず、定着してない読書はそこまで意味があるのか?」と思いました。

 

僕はタレブさんの本を読んで、定着率2割まで上がったと思います。(それは、タレブさんの本を一部、要約、まとめたからです)

 

読書の価値を高めるためには、読者側の意識の問題が重要なのです。

 

ただ読んだだけ、しかも誤読、都合のいい読解、ほぼ記憶の忘却の彼方では、読む価値がほとんどないと思われます。

 

くれぐれも、読書の時間を無駄にしないため、有効活用して欲しいと思います。

 

ではこの辺で。(6394文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

参考・引用文献。

「身銭を切れ!」

 

最新情報をチェックしよう!