インバウンド調査書「外国人観光客戦略」

どうも、武信です。(No282) 

 

「世界が驚愕 外国人観光客を呼ぶ日本の勝ちパターン」という本から引用・まとめをしていきます。

 

「外国人観光客戦略」は重要テーマです。

 

現在、外国人観光客産業は日本において、自動車に次ぐ輸出産業となっています。(約4.4兆円規模。2017年)

 

この外国人観光客産業について、本を基に、詳しく解説したのが今回の記事です。

 

この産業に関わっている人は必読でしょう。または、本を読んでもらえたらと思います。

 

内容が気になった方は続きをお読みください。

 

 

1 現状分析1。

 

「外国人観光客戦略」の現状分析を、まずはします。

 

外国人観光客は、2011年が約622万人だったのが、2017年には2869万人になり、6年で4.6倍に増えたそうです。

 

ちなみにインバウンドとは、「外国人旅行者が日本にやってくる訪日旅行」を意味する略称です。

 

今、政府が目指しているのが、2020年に4000万に増やすという案です。

 

4000万に仮に達すると、島国世界一の英国(約3600万人)を抜きます。

 

2017年の2870万人から、2020年の3年間で、年率12%で伸びれば、2020年に4000万人を超す計算になります。

 

2017年と比べて、4割も増えることになります。

 

世界順に並べると、1位はフランス、2位は米国、3位はスペイン、4位は中国、5位はイタリア、6位はトルコ、7位は英国となっています。

 

ちなみに、円安ビザ緩和だけで、ここまで伸びた説がありますが、適切でないです。

 

2011年から2014年にかけては、円安でしたが、2015年以降は緩やかな円高傾向だからです

 

ビザ緩和をして、平均以上に訪日旅行者数が増えた国というのは、ビザ緩和をしたうちの6割で、逆に言えば、4割はビザ緩和をしても、平均以上に訪日旅行者は増えなかったと言えるのです。

 

ビザ緩和をしても、訪日旅行者数が増えなかったケースは2つあり、1つ目は訪日旅行者の多くがビジネス目的であること、2つ目がそもそも日本に旅行に行くという素地がない国の場合です。

 

1つ目の例は、仕事があればビザが必要でもなくても来るわけであり、逆に言えば、仕事がなければ来ないのです。

 

2つ目は、日本に行くこと自体になじみがないので、ビザを緩和しても来日しません。

 

つまり、ビザ緩和をして効果がでるのは、日本に観光旅行に行くということが現実的な選択肢となっている国の場合です。

 

「日本の旅行の市場を育てる」のが大事なのですね。

 

インバウンド観光は、2017年で4.4兆円を稼いでおり(外国人の消費額)、輸出産業(外国人を相手に稼ぐ市場)という視点で見ると、「自動車に次ぐビジネス」になっています。

 

政府の目標は、2020年までに、外国人消費額を8兆円まで増やすことです。

 

現在、ゴールデンルート(東京・京都・大阪のルート)が、混雑しているのは知られています。

 

ゴールデンルート以外、つまり、地方への送客を考えないと、4000万人の観光客はさばけません。

 

だから、観光庁は地方観光の強化を図っています。

 

「第二のゴールデンルート」を開拓中とのことです。

 

日本の観光市場の8割は、いまだに「日本人による国内旅行客」が占めています。

 

観光売上の8割が日本人による国内旅行、5%がアウトバウンド、15%がインバウンドです。

 

しかし、10年後まで見据えると、国内旅行は減少すると思われます。

 

理由は、国内旅行を1番多くするのが、60代女性で全体の9%強を占めており、次に60代の男性9%弱です。

 

さらに、70代女性のシェアは5%強70代男性約5%80代では女性が2%弱男性が1%強まで下がりますし、中年・若者層はとりわけ、男性は旅行しません。

 

つまり、10年後、20年後には国内旅行をする日本人は激減すると予測できます。

 

兆候として、日本人の延べ宿泊者数は、2013年には4億3240万人泊だったのが、2017年には4億2020万人泊まで、減少しています。

 

対して、外国人の延べ宿泊者数は同期間に、3350万人泊から7800万人泊へと、2倍以上に増え、全体に占める割合は2013年の7.2%から、2017年には15.7%まで上昇しているのです。

 

2 現状分析2

 

続きです。現状分析です。

 

「ターゲット客は誰か?」という視点を考えるために、観光にはお国柄があり、「その国の観光客に何が受けるのか?」を調べるのが大事といえます。

 

次回の訪日時にしたいこと(2017年)という図が載っているので、興味ある方は本書をお読みください。P49。

 

その上で、収入による違い(富裕者対策など)や、宗教・ライフスタイルの違い(ハラル対応など)を勘案します。

 

よく言われますが、中国人は買い物、台湾やシンガポールの人は食べ物、オーストラリア人はスキーやスノーボードなど、それぞれの国の人の訪日目的には特徴があります。

 

しかし、中国政府が中国人が好んで買う製品に対し、60%の関税をかけたため、買い物ではなく、飲食観光にシフトしつつあります。(また、中国にいながら、ネットのECサービスで日本製品が買えるようになったのも、日本での爆買いが減った大きな要因です)

 

中国人観光客は現在、年間600万人程度ですが、今後、2000万人ぐらいにはなると見られています。

 

中国人はアウトバウンド越境ECで、日本企業のユニ・チャームの「ムーニー」という紙おむつ製品を買いまくります。(アウトバウンドECの額は、1兆円を超えており、2019年には2.3兆円になると予想されています)

 

2位に、中国人が越境ECで買う製品が、ミキハウスの子供服福袋です。

 

中国ではロングテールが通用しないで、既に売れている上位の製品だけが、売れる傾向にあります。

 

ちなみに、大雑把に言うと、日本に来る外国人観光客の85%はアジアから、5%が米国、その他が10%という構成です。(アジアの国別は、1位中国(637万人)、2位韓国、3位台湾(417万人だが、台湾の人口は2300万人であり驚異的な率である)、4位香港 と続きます)

 

国際観光の視点から言えば、近隣国から来るのが常識であり、「欧米豪の客を増やすべきだ」という案は良いように聞こえますが、現実的ではないのです。(近隣国から来るに加えて、景気がいい国から来るという意味で、アジアから来るのは当然なのです)

 

現実的な儲ける案として、1日当たりの消費金額が大きい人たちに、何度もリピートしてもらい、延べ宿泊日数を稼ぐほうが消費金額は高額になります。

 

そのデータは、「訪日外国人消費動向調査」で分かります。

 

国籍・地域別の「1人当たりの旅行支出」を「平均泊数」で割って、1日当たりの消費金額を計算すると、欧米(英、独、伊、スペイン、露、米、カナダ)は、おおむね1万5000円以下であるのに対し、台湾は1万8000円、中国やシンガポールは2万1000円、香港は2万5000円となります。

 

リピート回数が増えるごとに、消費金額が増えるというデータもあるので、1日当たりの消費金額が多いアジアのお客さんに、何度もリピートしてもらい、たくさん消費してもらうほうが、欧米からの旅行者よりも儲かるとは言えます。

 

国・地域別の外国人旅行者の消費金額(2017年)の図が、P55に載ってますので、興味ある人は本書をお読みください。

 

さて、東北地方は外国人がなかなか来ないエリアです。

 

奈良県・山梨県・広島県・静岡県の4県は、1回来たら2度と来ないエリアです。

 

北海道と沖縄も10回もしないうちに、飽きられるエリアです。理由は本書をお読みください。

 

さて、団体旅行の割合が低くなっています。

 

団体旅行の割合が一番多い中国ですら、FIT(Foreign Independent Tourの略。要は個人旅行)の割合が、50%を超えてきました

 

今は、世界中の多くの人が個人で旅行を手配し、インターネットで航空券やホテルを予約し、旅行代理店に頼むことは少なくなっているのです。

 

中国人は何度も来るうちに、台湾人と同じことを好むようになります。

 

たとえば、台湾人は日本人と似ていて、冷やしたビールを好み、生ものも食べ、裸になって温泉にも入りますが、中国人はビールは常温ですし、生ものには箸を付けず、人前で裸になる温泉も嫌います。

 

それがだんだんリピートを重ねるうちに台湾人のようになるのです。

 

3 その他。

 

その他の話をしますね。

 

日本では2009年5月に「IQ84」の第1巻が発売されましたが、ウィキペディアによると、韓国ではわずか3ヶ月後の8月に、台湾でも半年後の11月に翻訳本が出ています。

 

英語版は2011年9月なので、韓国台湾での人気が高いことがわかります。

 

日本では、3冊で300万部以上売れたそうですが、人口が5000万人強の韓国で、200万部売れたといいますから、割合でいうと、韓国では日本以上に売れたことになります。

 

台湾でも、台北知覚の私立大学・淡江大学には「村上春樹研究センター」があります。

 

村上春樹の国際的な研究拠点を目指しているそうです。

 

世界中にハルキストが存在します。村上春樹を満喫する仕掛けも、旅行戦略としてありかもしれません。

 

と書いていましたが、村上春樹氏は日本に不利となる?ことは証拠不十分なことも書いているそうです。

 

「世界で売りたいため?日本を貶める村上春樹の大罪」というタイトルの記事です。(消されたようです)

 

また、イーロン・マスク氏がアニメの「君の名は。」が好きだとツイートし、スノーデン氏も「言の葉の庭」が一番好きと返しており、日本のアニメは国際競争力があるかもと思っています。(これも消されたようです)

 

さらに、サイバーエージェントがアニメ制作事業に参入するようです。「サイバーエージェント、アニメ制作事業に参入」というタイトルです。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1810/17/news093.html#utm_term=share_sp

 

アニメ、外国人向けビジネスとして、これから熱くなるかもしれません。

 

ではこの辺で。(4427文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

 参考・引用文献。

 

「世界が驚愕 外国人観光客を呼ぶ日本の勝ちパターン」

「大前研一 新しい消費者」 

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