乱世の奸雄とは?「平時のときと、乱世のときではリーダーに求められる能力が違う」

どうも、武信です。(No956)

 

「治世の能臣、乱世の奸雄」という言葉があります。

 

意味は「世が平和に収まっている時は有能な臣下として働くが、乱世になるとずる賢い英雄になるだろう」というモノです。

 

三国志の曹操が言われた言葉だそうです。

 

はやんちゃな人間で、悪賢かったのですが、普段の平時のときではその能力が発揮されませんが、乱世になると、世の中が混乱しており、曹の普段なら負の側面も、逆に活きるということなのです。

 

今回は、「平時のときと乱世のときではリーダーに求められる能力が違う」というテーマで話していきます。

 

「コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画」という本を参考にしてまとめました。

 

興味がある人は続きをお読みください。

 

 

1 現在、コロナ時代の現状。

 

現在、コロナ危機により、平時というよりは乱世の時代に入ったと言えるでしょう。

 

過去、乱世のときは例えばリーマンショックや東日本大震災のときがありました。

 

今のコロナ危機は、L(ローカル産業。飲食・観光・小売・宿泊・エンタメ・住宅関連など)から打撃を受け、それからG(グローバル。大企業やIT企業系)にも次第に影響を与え、最後にF(金融)の世界に影響が向かうというのが冨山氏の当初の見立てでした。

 

ですが、Gの世界への影響も予想していたよりは深刻ではなく、Fにもそこまで影響を今のところ、与えていません。(株価が大暴落とはならなかったのです)

 

リーマンショックのときは、耐久消費財とその関連の設備投資や部品供給、材料救急の需要は一気に減少し、Gの世界にも大打撃を与えました。

 

生活が脅かされているときに、高価な耐久消費財を買うわけがありません。

 

耐久消費財の需要のほとんどは買い替え需要であり、高いモノから順に、自動車や住宅関連、次に電機製品、さらに衣料品という順番で、買い控えが起きます。

 

もちろん、コロナ時代の今、ある程度の買い控えは起きているでしょうが、事前の予想はもっと深刻だったのではないかな?と感じます。

 

外出できないという問題ではなく、将来への深刻な不安から、買い控えが起き、それは設備投資やIT投資や部品・材料を提供している企業に影響すると思われたのです。

 

そして、手元のキャッシュが大企業でもどんどん減っていきます。(トヨタのような超優良企業でも手元現預金はせいぜい売り上げの2ヶ月ぶんくらいしか持っていません)

 

しかし、自動車産業は打撃を受けましたが、IT投資はコロナ時代においてはテレワーク推進などで、逆に増えると思われます。(巣ごもり消費で、ゲームやネット企業の売り上げも増えたでしょう)

 

もちろん、欧米や中国で感染が長引けば、日本のグローバル大企業や関連する地域の中堅・中小企業にも影響を与えます。

 

航空産業、自動車、電機、機械、総合商社では業績の下方修正などが目立ちます。

 

しかし、Gの世界への影響は事前の予想ほどは深刻ではなかったのでしょう。

 

この原因として、コロナがそこまで恐ろしくなかった点が挙げられるでしょう。

 

欧米ではそこそこ深刻でしたが、日本では医療崩壊も起きず、重症者も少なかったのです。(しかし、繰り返しますが、欧米・中国の動向によっては日本のGの世界もヤバイです)

 

よって、特にGDPの7割を占め、雇用の8割を占めるL(ローカル産業。飲食・観光・小売・宿泊・エンタメ・住宅関連など)が大打撃を受け、政府が対応中といった状態です。

 

「Go To トラベル」も地方のローカル産業を救うためです。

 

Gの世界の大企業の正社員は全体の2割程度です。

 

Lの世界は「中堅・中小企業」が中心であり、「非正規社員やフリーター」の多い産業です。

 

勤労者の約8割は「中小企業の従業員または非正規雇用」が占めています。

 

冨山氏の本には、コロナは緊急事態であり、深刻な危機だと書いており、だからこそ「こういう乱世の時代のリーダーとはどうあるべきか?」というようなことが書かれていました。

 

以下、冨山氏が考える乱世のときのリーダー像を紹介しつつ、僕の意見も加えます。

 

 

2 「乱世のときにリーダーに求められる能力」

 

危機の経営においては「これから起きうることに対する想像力、対応策の効果に対する想像力」が極めて重要だといいます。

 

なぜなら危機は新しい形で、想定外のところからやってくるからです。

 

事前に用意しておいたマニュアル通りに進まないのです。

 

「歴史から学ぶ」のはもちろん、「歴史から想像する」のです。

 

過去の経済危機において、生死を分けたのは、手元流動性(現預金)の潤沢さ金融機関との従来からの信頼関係、そして平時における稼ぐ力(特に営業キャッシュフローの厚み)自己資本の厚み、です。

 

言い換えれば、危機においてこそ「普段からの本質的な経営水準、経営体力の差が顕在化し、優勝劣敗が起きやすい」のです。

 

この30年間、日本企業は「稼ぐ力」を失い、稼げないから思い切ったリスクが取れず、未来投資もできず、稼ぐ力の脆弱性が不安なのでわずかな稼ぎから「もしもの時」に備えて、バランスシートの左右に内部留保(利益準備金)手元流動性を両建てでコツコツ積み上げてきました。

 

問題の根源は「稼ぐ力」が落ちたことです。

 

「日本的経営」が通用しなくなったのです。

 

GDPの7割を占める低い生産性と低賃金にあえぐL型の産業群。

 

グローバルな大競争と破壊的イノベーションのダイナミズムに苦しむG型のグローバル大企業。

 

それぞれにコロナショックは、これまでの停滞モード、衰退モードを大転換するきっかけとなりえると言います。

 

詳しくは本をお読みください。

 

修羅場の経営の心得として、以下があります。

 

1 想像力。最悪の想定を起き、最善の準備をせよ。

 

2 透明性。りそな再建の教訓。Bad Newsをあからさまにせよ、信用毀損をおそれるな。

 

3 現金残高。短期的なPL目標は本気で捨てろ。日繰りのキャッシュ管理がすべてだ。

 

4 捨てる覚悟。何を本当に残すか、迅速果断な「あれか、これか」の「トリアージ」経営を行え。

 

5 独断即決。戦時独裁ができるトップ、姿が見えるトップを選び、真の「プロ」を集めて即断即決、朝令暮改。

 

6 タフネス。DRAM産業(エルピーダ)喪失の教訓。ーー手段に聖域を作るな、法的整理でさえ手段に過ぎない。

 

7 資本の名人。JAL再建の教訓ーー2種類の「お金」を用意せよ。

 

8 ネアカ。危機は、新たなビジネスチャンス!「国民感情」に流されず投資や買収に打って出よ。

 

「修羅番のべからず集」も挙げています。

 

1 見たい現実を見る経営。

 

2 精神主義に頼る経営。

 

3 人望を気にする経営。

 

4 衆議に頼る経営。

 

5 敗戦時のアリバイ作りに走る経営。

 

6 現場主義の意味を取り違える経営。

 

7 情理に流される経営。

 

8 空気を読む経営。 

 

以上、ここまで。

 

このうちの、5 独断即決。戦時独裁ができるトップ、姿が見えるトップを選び、真の「プロ」を集めて即断即決、朝令暮改。を取り上げますね。

 

緊急事態に、トップの経営スタイルは以下の2つに分かれます。

 

1 重要な問題だから部下や仲間の意見を聞き衆議を尽くして皆でものを決めるタイプ。

 

2 情報は徹底的に集めるが最後は孤独に独断で決めるタイプ。

 

危機に強いリーダーは2のタイプだといいます。

 

日本の組織は苦しくなると、秩序や手順を重んじ、色々な人に気を配る組織人、敵の少ないバランス型の人材を選んでしまいます。

 

独裁型の織田信長タイプは、権力を持たせたら何をやるか分からないので、避けられます。

 

皆の意見を聞く調整型のタイプは、延々と衆議を続けて時間ばかり過ぎ、危機を深刻化させます。

 

古来より、戦時は独裁であり、意思決定に関与させるべきは「少数のプロフェッショナルだけ」です。

 

経営でいえば「財務、事業、会計、法務、労務に関するリアルな修羅場経験とスキルを持った人」です。

 

「海外企業のベストプラクティス紹介ばかりやる人」や「綺麗事のビジョンばかり語るコンサルタント」は全く役に立ちません。

 

「調べてばかりいる人」も役立ちません。

 

調査分析ばかりやっている間に、会社が消滅してしまいます。

 

トップダウンの経営しかないのです。

 

社内外から本物のプロを集め、有事オペレーション体制を組み、即断即決で危機に対峙していくのです。

 

社内外に向けて自分の姿をさらし、自分の意思で決めたことを自分の言葉で発信し、その結果もすべて自分が引き受けます。

 

そして、状況が変われば、間違いに気づいたら、即座に朝令暮改・君子豹変します。(恥も外聞も気にしている場合じゃありません)

 

実は、中堅・中小企業はオーナー経営者がトップダウン型経営をしている場合が少なくないので、その経営者自身がしっかりしていれば危機には強いです。

 

ある意味、身軽な分、敏捷性もあり、危機の大波を巧みに避けることもできます。

 

ただ、こうした企業の弱みは社内に高度なプロフェッショナルスキルを持った人材が少ない点です。

 

真のプロはどこにいるのか?は詳しくは本をお読みください。

 

経営は民間であり、法律違反さえしなければ(つまり合法であれば)、独裁もある程度、許されると思います。

 

ですが、政治や政府が関わる国立大学などだと、合法の範囲内に動くのはもちろんのこと、独裁をしすぎると、安倍のような政治になります。

 

それにしても、安倍はコロナ危機のときはかなり無能をさらけだしました。

 

普段の平時のときは、独裁で、法律無視で、強引に進めていたのに、コロナ危機のときだけ、なぜか律儀に法律に則って進めようとしましたし、決断・動きも遅かったのです。

 

平時のときこそ、皆の意見を聞いて進める、いわゆる岸田さん?(人の話を聞く政治と言ってますからね)が向いているのでしょうが、危機時はある程度、独裁に近い織田信長型が求められるということになります。

 

今のコロナ状態は、だいぶ落ち着いてきており、かなりの危機は脱したでしょう。

 

ですが、当然、油断はできず、GDPの7割を占めるL型が沈没すれば、雇用も経済も大打撃になり、失業者、自殺者が増えるでしょう。

 

さて、他にも、この本には危機時のリーダー像、または他の情報も盛りだくさんで載っているので、興味がある人は読んでみてください。

 

続編は以下です。(僕はまだ、未読ですが、これから読みます)

 

「コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える」

 

ではこの辺で。(4408文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

参考・引用文献。

「コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画」

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