現金一律10万円給付案について思うこと

どうも、武信です。(No811)

 

過去記事です。

 

政府は一時期、「全世帯への一律現金10万円給付案」を打ち出しました。

 

その理由として、選別した給付だと2ヶ月後とかになるので、「緊急の際は選別している余裕はない」というものだと思います。

 

さらに、現金10万円という額の大きさは仮に給付金を1万円にしたら、前のリーマンショックのときは3割しか消費されていなかったというデータがあり、景気への影響が少ないことから、10万円という額にすれば、たとえ3割でも効果は大きいと踏んでいたと思われます。

 

ですが、僕はこの現金一律10万円給付案は愚策だと思っており、その理由を説明します。

 

興味がある人は続きをお読みください。

 

 

1 現金一律10万円給付案について思うこと

 

現金一律10万円給付案について、僕が思うことを述べます。

 

以下の記事を貼ります。

https://diamond.jp/articles/-/232936

コロナ経済対策の「収入減世帯への現金給付」に大いに賛同できる理由 というタイトルです。

 

一部、要約しつつ、僕の意見も加えます。

 

各国政府が大胆な財政出動を検討しています。

金融緩和だけでは政策として、足りません。

 

日本は「収入減の世帯」に対象を絞るようです。

 

現金一律給付の「広く浅く」より、対象を狭めた「狭く深く」に予算を投入することに著者は賛成しています。

 

現金一律給付に反対する理由として、景気対策として、あまり有効ではないからです。

 

その根拠として著者は、大多数の人々が「所得が減ったから消費をしない」のではなく、「所得は減っていないが外出できないので消費できない」状況だからと言います。

 

通常の不況期であれば、多くの人々の所得が減ることで人々の消費が落ち込み、景気をさらに悪化させる悪循環になるので、幅広く現金を配ることに意味があります。

 

しかし今回は、少数の人々(行楽関連や飲食関連の中小企業やそうした企業にリストラされそうな従業員、これらの業界に関連する自営業者など)の所得が落ち込んでいるだけなのです

 

全国民に現金を配れば、年金生活者や公務員や一般企業のサラリーマンにも現金が配布されますが、そうした人々は現金が配布されても、消費を大して増やさないのです。(元々、困っていません)

 

仮に10万円の一律給付をして、その3割が消費に向かったとして、景気に多少効果があるとしても、問題が出てきます。

 

まず1つ目の問題は、弾丸が切れることの懸念です。

 

一律国民に10万円を配るとすれば、約12兆円(1億2000万人に10万円と計算)になりますが、政府の考えている投入予算額はGDPの1割に当たる56兆円です。

 

で、約12兆円の弾丸を4回しか打てないことになります。

 

1回の弾丸(12兆円の効果)は、2ヶ月ぐらいで効果が切れる可能性もあります。

 

10万円のうち、3万円を消費に回したとしたら、1ヶ月1.5万円を2回使えば、終わります。

 

となれば、2ヶ月☓4回としたら、8ヶ月しか効果がない弾丸になります。

 

仮に、もっと使うと仮定して、3ヶ月にしたら、12ヶ月になり、1年は持ちます。

 

ですが、今回のコロナ問題は特効薬ができるまではまったく収束の見通しは立たないと思われます。

 

つまり、かなりの不確実な世界であり、弾丸が切れる可能性は考えておかなければなりません。

 

最低でも2年間ぐらいの弾丸は持っておきたいところです。(この2年という数字も不透明です)

 

となれば、56兆円の倍の112兆円ぐらいの投入予算額は考える必要があります。

 

ですが、これはあくまで弾丸(一律10万円の給付)の計算だけであり、その他の予算がかなりかかることも考えなければなりません。

 

このような弾丸切れという懸念点が、一律給付の疑問点です。

 

次に、皆さんが忘れがちなことですが、今回のケースは普通の不況とは違うわけです。

感染症経由による不況なのです。

 

そして、外出が基本的に禁止になるものです。(感染しやすくなってしまいますからね)

 

となれば、現金10万円を仮に支給されても、本当に困っている少数(特に、飲食や旅行業界など)に金が向かうと皆さんは思いますか?

 

外出が禁止や自粛となれば、飲食や旅行に金を使えないか、使わないでしょう。(しかも、感染が怖い上に、感染者が増えるリスクがあります)

 

そうなると、10万円をもらった人達が使う先は、Amazonなど、コロナで困っていない企業になるのです。

 

景気対策(本当に困っている少数に向ける)として、ほぼ意味がない政策だと思いませんか?

 

この一律10万円案が出た理由として、官僚や政治家の頭の固さがあると思います。

 

従来のリーマン・ショックと同じ構造・認識で経済対策をやろうとしたのです。

 

従来の危機には、確かに、一律10万円案などは良かったかもしれませんが今回のケースは違うのです。(よく前提条件を考えもしないで、官僚や政治家が考えた愚策です)

 

しかも、長期に渡る危機(収束の見通しも不透明で不確実)という前提も忘れていそうです。(もちろん、特効薬ができたら、外出自粛も必要なくなり、危機は収束しそうですね。特効薬が出来たら、一気に収束へ向かいます)

 

今回、必要とされる景気対策として、著者が言うように、倒産の防止、雇用の確保、自営業者の所得保障はあるでしょう。

 

例えば、中小企業に対する資金繰りの大胆な支援(金融機関借入に対する政府の大胆な保証など)、雇用調整助成金の大盤振る舞い、所得の減った自営業者への積極的な所得補填などです。

 

著者はその他に、雇い止めされた非正規労働者、小学校が休校になったことで仕事にいけなくなった母親などへの所得補填、今年から仕事を始めた自営業者などに、支援すべきだといいます。

 

こういう人達には、緊急融資制度(1人100万円まで無担保無保証で融資)、あるいは金融機関の融資を政府が保証する策を採るべしと言っています。詳しくは著者の記事で。

 

2 現金一律10万円給付案をぶちあげたことへの悪影響。

 

このように、現金一律10万円給付案は、景気対策としてあまり意味がないと言えますが、これをぶちあげたことにより、悪影響が出ています。

 

人は損失を嫌う生き物であり、一度もらえるとわかったのをダメにされると、怒りが湧いてくるのです。

 

で、10万円を何とかしてもらおうと、たくさんの国民(僕の実感では6、7割以上はいる)が訴えます。

 

以下のパターンです。

 

1 経済対策は緊急を要するから、2ヶ月後じゃ遅い。

 

これに対しては、困っている人に融資などの策を採ればいいだけですし、そもそも、現金一律10万円給付案をやっても、困っている少数に金が回らないのですから、景気対策として意味がありません。(遅い、速いの問題じゃないのです)

 

2 普段、税金を払っている層と払っていない層を選別、区別するのか?一律給付にしないと公正ではない。

 

これに対しては、「そもそも景気対策として意味がないことをやる正当性がないですよね?」と言いたいです。

 

景気対策としてあまり意味がないのであれば、10万円を配るのはボーナスであり、「そもそもボーナスを国が払う政策をやりますか?」と言いたいです。

 

さらに、1万円でもいいから支給すれば、選別による不公性が減ると言う人もいますが、そもそも景気対策として正当性がないので、それはボーナスを配ることになり、意味がありません。

 

ですが、国民の意味がわからない不平・不満を満足させてあげるという意味では、1万円一律給付は意味があるかもしれませんが、それは単なる国民のわがまま・意味わからん主張に付き合うだけのことになります。

 

そういう意味で、現金一律10万円給付案を考えた人は、ほぼ頭を使わずに、従来の不況の延長線上で対策を考えた人達なのです。

 

僕は、そもそも、現金一律給付案という弾丸なんて、打つ必要を感じませんし(景気対策としてあまり意味がないので)、選別した世帯への給付なら多少は意味があると思います。

 

その人数は1000万人と言われています。

 

しかし、戦引きが難しく、どうするか?になります。

 

それならば、上記に挙げた、中小企業に対する資金繰りの大胆な支援(金融機関借入に対する政府の大胆な保証など)、雇用調整助成金の大盤振る舞い、所得の減った自営業者への積極的な所得補填。

 

さらに、雇い止めされた非正規労働者、小学校が休校になったことで仕事にいけなくなった母親などへの所得補填、今年から仕事を始めた自営業者などへの支援。

 

こういう人達には、緊急融資制度(1人100万円まで無担保無保証で融資)、あるいは金融機関の融資を政府が保証する策。

 

これらを中心にやればいいのでは?と思います。(その他の策もあるかもしれません)

 

 そもそも選別された世帯に、弾丸を打つ必要すら、僕は疑問に感じてきました。

 

それにしても、現金一律10万円給付案という愚策を考える官僚?や政治家は、ヤバイと思いました。

 

文科省の件(教育改革)についても、僕はかなり違和感を感じました。(僕の意図することをまったく汲み取っていなかったのです)

 

もはや官僚や政治家が優秀という説は、崩壊していると思われますね。

 

現金一律10万円給付案を考えた人は、どういう思考回路で考えたのか?大いに謎です。

 

僕の予想では、冒頭で示した通り、緊急だから選別している余裕がない、そして前回のリーマンショックのときは3割しか消費に向かわなかったから、額を10万円に増やせば効果があるはずだ!というモノでしょう。

 

しかし、そもそも前提条件として、「10万円を国民に渡して、外出が禁止か自粛状態の中、国民がどのように金を使うのか?」また「誰が本当に困っているのか?」という視点を考案者はまったく持っていなかったことが窺えます。

 

方向性自体がどんでもなく間違った策を、やろうとしたのです。

 

僕は、もう政府にアドバイスなんてしないつもりでしたが、あまりにも酷い策であり、ある人と議論をして、多少、考えました。

 

3 各国とも状況が違う。

 

アメリカは2兆ドル(日本円で約220兆円)への景気刺激策で合意しました。

 

1人あたり最大1200ドルの個人への現金給付や、航空会社など企業への支援が含まれるそうです。

 

この背景には、アメリカの1週間の失業保険の申請件数が前の週に比べて10倍以上となる328万件余りに急増し、過去最悪となったことがありそうです。

 

アメリカの場合、解雇が容易な社会なので、失業というわかりやすい形で困った人達が明確化されます。

 

日本は雇用を最後まで守るので、現金給付でも線引きをせざるを得ませんが、アメリカは失業者が明確に表れ、失業保険など支援すればいいシステムです。

 

日本とアメリカは、これだけでも状況が違います。

 

さらに、アメリカは国債をいくら刷っても大丈夫な国(基軸通貨国)です。

 

アメリカは人口も多く、年齢も若く、成長性があります。

 

加えて、強大な軍事力という担保と、外国債をどんどん日本などに売らせ、しかも日本はアメリカ国債をほぼ売れない状態になると僕は睨んでいます。(ちなみに、GPIFのポートフォリオは、外国債が25%、外国株25%、日本株25%b、日本国債25%と変わり、外国債の比率が増えました)

 

対して、日本は基軸通貨国ではなく、成長もあまり見込めない国であり、国債は日銀に引き受けさせるしかなく(将来のインフレ要因となる)、アメリカとは状況が違います。

 

そういった中で、アメリカと同じように、日本が大盤振る舞いをして大丈夫か?と言えば、疑問符がつきます。

 

将棋は、盤面が少しでも違うと、最適手が変わります。

 

その都度、局面が変わるごとに、頭を使って考えないといけない競技であり、ルーティンでこなせないのです。

 

そして、どちらかといえば、こういう不確実な世界のゲーム?は、将棋と似ており、各国で共通に使える策もあれば、各国それぞれ固有にしか効果がない策もありえます。

 

つまり、前提条件をよく考え、頭を使い、策を考えないといけないのです。

 

アメリカや他国と、前提条件がどう違うのか?まで考えないといけません。

 

日本は日本に効果がある策を行えばいいのです。

 

頭をあまり使わないで、ルーティン思考ばかりの、官僚や政治家?達の思考回路が謎で仕方ありません。

 

ではこの辺で。(5296文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

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