不動産業界の裏側を暴露!書評・レビュー「不動産で知る日本のこれから」

どうも、武信です。(No938)  

 

今回は、珍しく、不動産の本を書評・レビューします。

 

「不動産で知る日本のこれから」という本です。

 

僕はそこまで不動産に詳しくないですが、目から鱗の情報ばかりで驚きました。

 

「不動産業界の裏側」を知れたのです。

 

「不動産をもし買う、扱うなら、この著者はとりあえず追いかけた方がいいなぁ」と感じました。

 

興味がある人は続きをお読みください。

 

 

1 タワーマンションを買うのは、東京を知らない地方の人たち。

 

本のP14〜18をまとめます。

 

タワーマンションに定義はないですが、不動産経済研究所では20階建て以上のマンションを超高層マンションとして、分譲用に供給された戸数について集計・発表をしています。

 

それによると、2004年〜2016年までの13年間に、首都圏で供給された超高層マンションは累計で573棟、17万7850戸に及びます。(2016年は推定値)

 

同期間に首都圏で供給されたマンション戸数(69万7418戸)の、なんと4戸に1戸が、タワマンなのです。

 

タワマンは、都心移住の代名詞で、素晴らしい眺望、都心部へのアクセスの良さ、充実の共用施設など、一般庶民には「憧れ」のマンションといわれてきました。

 

ですが、今ではその希少性が薄れ、タワマン独自の問題があちこちで叫ばれ始めているのです。

 

以下の問題です。

 

1 築15年〜20年を迎える物件で目立ち始めた雨漏りの問題。

 

詳しくは本をお読みください。(省略)

 

2 大地震等での停電に備えて設置された非常用発電装置の経年劣化が激しい問題。

 

築15年〜20年程度で交換するには、一基数千万円から1億円の負担となります。

 

メンテナンスをしっかり施さないと、いざというとき役立ちません。

 

3 タワマンに装備されているエレベーターは超高速で高性能だけど、更新する場合には大変な金額となる問題。

 

これらの問題をすべて負うのは、分譲したデベロッパーではなく、一人ひとりの所有者です。

 

タワマンが林立する土地の多くは埋め立て地で、しかも以前の工場や倉庫などの跡地です。

 

大地震が発生したときは、多くの土地で液状化現象が生じると予想されています。

 

昔からの東京人で、湾岸エリアのタワマンを買う人は少ないのは、このエリアの以前の姿を知っているからです。

 

お台場が東京だと憧れる「東京を知らない地方の人」が買うのがタワマンなのです。

 

不動産を買うには、地歴(ちれき)が必要です。

 

地歴とは、昔その土地に何があったのか、どんな歴史が潜んでいるのかを語る重要な資料であり、タワマンは地歴で買うには「お買い得」ではけっしてないのです。

 

また、タワマンについてはいろいろな記事が書かれています。

 

https://gentosha-go.com/articles/-/28931

怒りすら覚える…タワーマンションが「欠点だらけ」と気づく人

 

https://www.rals.co.jp/invest/column/investmentnews/?dp_id=4694290878607570144

タワマン売り始めた?「アジア富裕層」に想定外の税金

 

2 「これから世代」の「家」の選び方。

 

P42〜52までをまとめます。

 

最近の若い人は夫婦で6000万、7000万といった住宅ローンを組んで、タワーマンションを買いたいのです。

 

タワマンを買いたい、Aさん夫婦と、Bさん夫婦の2種類がいて、あまりにも対照的なので、紹介します。

 

Aさん夫婦。

 

都心の一流企業会社勤務の共働き。子供は保育園に通う4歳と1歳の女の子。住んでいるのは、交通の便の良い都心の賃貸マンション。広さは55㎡。家賃は15万円

 

2人の年収を合わせると1000万円ほど

 

Aさん夫婦は、東京湾岸部のタワーマンションを7500万円で買いたい。Aさん夫婦の貯金は1000万円強。これにフラット35を活用した住宅ローンで6500万円を借りて買いたい。

 

ローン返済額は、夫婦でそれぞれ借り入れ。変動金利を使って期間35年にすれば、毎月の返済額は16万円強。ボーナス時は60万円。年間返済額は280万円ほど

 

この低金利時代の恩恵で年収1000万円超の夫婦から見れば、十分支払えるし、なおかつ、住宅ローン減税による所得減税分が年間40万円あるから、実質の支払い負担額は向こう10年については年間240万円程度で済みます。

 

現在の家賃は月々15万円だから、「これは買うしかない」という夫婦の結論。

 

夫婦が家を買う理由は以下です。

 

1 今の家は2LDKで狭いし、子供部屋を持ちたい。2年後に完成するタワマンには保育園も併設されるみたいなので、子供を預けて通勤もできる。

 

2 年間280万円35年間払うのは大変だが、これから給料は増えるだろうし、退職時に残債が少し残るけど、退職金で返してしまえばいいし、これからは生活を切り詰めて、そのつど、期限前返済もしていけばなんとかなる。

 

3 人生が住宅ローンに縛られるのはちょっとどうかな、と思うが、家族のためだし、ローンを払っていれば、いずれ自分のものになるし、この場所はオリンピック後も発展するらしいので、途中で売れば儲かるかもしれない。

 

4 今、買っておかないと、一生賃貸は不安。だって、マンション価格はどんどん上がっているし、家賃を払っても自分のものには一生ならない。それに家族向けの賃貸住宅はろくなものがない。歳を取ると貸してもくれない。ローン組むなら、若いうちの方が返済は結果的に楽。

 

著者の回答・懸念は以下です。

 

1 マンションが竣工する2年後、東京湾岸の中古マンション相場が下落するリスクを考慮していない。(途中で売却したときに売却損が出る可能性がある)

 

2 夫婦共働きで1000万円。どちらかがリストラ、あるいは健康を害した場合の担保が何もない。もちろん夫婦仲が悪くなったときのことは一切考慮してない。

 

3 東京都内であって、人口は逓増していても、年齢構成については今後、急激に高齢化して、家に対する実需は確実に現象する。

 

4 今後都内の団塊世代以上が保有する戸建て、マンションが相続の発生で大量に売却あるいは、賃貸物件として出回ることが予想される。

 

5 この世代は年金受給の受け取り時期の大幅な遅延で、支給額の減少が避けられない。(退職時の一部でローンの返済を考えるのは非常にリスクが高い)

 

6 35年後のマンションが老朽化した物件であること、マーケット中で、このマンションがビンテージマンションになる可能性は低い。

 

35年間で金利分を含めると9800万円を投じようとするネット世代のA夫婦。

 

金利と税金の優遇は家を買わせるための「誘い水」であり、その誘い水に乗っかって、人生のすべてをローン返済のために費やすことには「これからの世代」の人達はもっと慎重になったほうが良いと、著者は言います。

 

対して、「これから世代」に属する別のBさん夫婦は、これからの時代を見据えた「しなやか」な住宅購入戦略でした。

 

ここから先は本をお読みください。

 

僕は「こんな策があったのか!」と驚きました。

 

住宅戦略だけで、相当、人生変わるなぁと思いました。 

 

 

3 相続人が苦しむ禁断の果実・リバースモーゲッジの功罪とは。

 

P65〜69をまとめます。 

 

相続人が苦しむ禁断の果実・リバースモーゲッジの功罪とは

 

リバースモーゲッジとは「自宅等の不動産を担保に、極度額を設定し、極度額内で繰り返し借入を行ない、借入人の死亡時に自宅等を売却することで、返済をする」というものです。

 

自宅を所有していますが、生活資金が苦しい高齢者にとっては「自宅を現金に替えて、生活資金を捻出できるメリット」があります。

 

リバースモーゲッジの利点は、「自宅を担保に入れて、返済は金利分も含めて、自身が死亡したときなどに一括返済すればよい」、という点です。

 

高齢者にとっては愛着がある家ですが、子供たちは都心のマンションに住んでおり、戻ってくる予定もないし、高齢者の自宅を引き継ぐ意思もないとしましょう。

 

そうなると、高齢者の家を「食いつぶし」て、死んだときに売却して返済すれば、豊かな老後生活を送れるのです。

 

最近の相続の現場では、親の家は人気がないです。

 

かつては「高嶺の花」だった郊外戸建て住宅は、今どきの共働きがあたりまえの子供世帯にとっては魅力がありません。

 

相続されても管理や税金が面倒くさいですし、彼らが欲する親の資産は「現金」なのです。

 

それならば、「高齢者の老後資産もあまり豊かではなく、自宅の資産としての価値を老後資産に繰り入れるよ!」という思想に基づいた商品がリバースモーゲッジと言えます。

 

リバースモーゲッジは、そのまま自宅に住み続けるのが前提であり、実際には郊外戸建て住宅を「脱出」しているわけではないのですが、資産価値を生活資金という領域に「脱出」させているのです。

 

多くの金融機関のリバースモーゲッジの商品の案内によると、その仕組みはおおむね次の通りです。

 

1 住宅の担保価値を評価

 

2 おおむね担保価値の50~70%程度の極度額を設定

 

3 極度額の範囲で毎月利用可能額を設定し、繰り返し借入ができるようにする

 

4 金利は住宅ローンなどよりも高い3%程度の変動金利

 

5 返済は元利金合わせて期限一括返済または借入人の死亡時の一括返済

 

6 相続人の同意が必要

 

ここで注意したい点は、担保に入れた自宅の価値でしょう。

 

金融機関は一定期間(たとえば1年)ごとに担保価値を見直し、評価が下がったときは、極度額の変更、利用可能額の低減などを行ないます。

 

また、担保価値を下回った場合には、追加担保の差出や期間内での借入額の返済なども要求してくる仕組みになっています

 

借入人が死亡したときは、自宅を売却して返済できればよいのですが、「売れなかったり、売却金額が借入額に満たない場合は、その返済は相続人にも及ぶ」のです。

 
郊外戸建て住宅地は今、急速に高齢化が進み、都心居住が強まる中、その資産価値は下がりつづけています。

 

とりわけ駅からバスでアクセス、都心まで一時間以上もかかるような家は「いざ相続となった時に簡単には売却できない」、というリスクが今後急速に高まってくるでしょう。

 

売却できなければ、結局相続人である子供たちは、親の残していった、「やっかいものの不動産」と、そこにへばりついた膨大な借入金と、その利息の返済に悩まされます。

 
親は子供が興味のない家だから次の世代に残すのではなく、その資産価値を味わい尽くせばいいわけです。

 

子供から見れば、どうせ相続しても自分は住まないし、売ってしまえ ばよいと思っていたので好都合です。

 

「親は親、子は子」と考えがちです。

 
しかしこの一見すると理にかなった、みんながハッピーなように見えるリバースモーゲッジにも最大の欠陥があったのです。

 

続きは本をお読みください。

 

 

4 他、気になる項目。

 

「賃貸」VS「持ち家」のくだらない論争は、そろそろやめにしよう。

P70〜76。

 

空き家と所在不明土地〜不動産放置プレイの蔓延。

P96〜101。

 

続々誕生する外国人村は、日本を救うのか?

P164〜169。

 

などは、付箋を貼っています。

 

他にも、たくさん、かなり参考になる箇所が満載の本でした。

 

不動産系の本なら、この著者をとりあえず追いかけておこうと決めました。

 

著者の新刊は以下です。

 

「不動産激変 コロナが変えた日本社会」

 

まだ、読んでいませんが、読もうと思っています。(Amazonレビューに1点の酷評がついてますが、本当なのか?不明です)

 

牧野さんの記事が以下。

 

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75424

テレワークで仕事ができると証明された今、日本人の「家選び」はこう変わる

 

新刊はこのような内容に近いのかもしれませんね。

 

ではこの辺で。(5121文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

参考・引用文献。

「不動産で知る日本のこれから」

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