IT企業のビジネスモデル「AbemaTVの行方」PART2

どうも、武信です。(No455) 

 

前回の記事は以下です。

IT企業のビジネスモデル「AbemaTVの行方」PART1

 

AbemaTV(サイバーエージェントが経営)は、テレビ朝日と提携しています。

 

毎年、200億円近い赤字を垂れ流しており、「AbemaTVは大丈夫か?」と囁かれています。

 

このAbemaTVの行方について、未来予測をしてみたいと思います。

 

現状分析から始めます。

AbemaTVへの、僕なりの提案まで行っています。

 

詳しく知りたい方は、続きをお読みください。

 

力作記事であり、文字数多めです。

 

 

3 僕の意見。

 

AbemaTVのライバルは、TV局です。

 

正直、コンテンツ産業という大きい枠組みで見れば、アテンションの奪い合いであり、余暇時間の奪い合いなので、ほとんどが競合になります。

 

TV、新聞、本、ゲーム、漫画、ネット、外食、旅行など、どれも余暇を使って楽しむものは競合です

 

ですが、コンテンツ産業をもっと狭い枠組みで見ると、「どの層がどの娯楽に余暇を使っているか?」でビジネスを考えることになります。

 

TVは幅広い層に普及しており、一家に一台は最低ありそうですから、いつでも見れますし、サッカーのような国民的番組にになると、視聴率50%超えとかもあり、国民の半分近くが見ることもありえるほど、リーチの幅がでかいです。

 

そして、電波料が安いので、AbemaTVのようにサーバー代などの負担がかからず、放送できており有利です。(電波利権が解放されたら、TV局の競争が激しくなります。参入する企業は後を絶たないでしょう)

 

そこに真っ向から対決を挑んでいるAbemaTVは、「勝算が果たしてあるのか」と僕なら不安になります。

 

僕は以下の記事に書いた通り、Netflixのような課金型がネット企業のTV局には向いているのかなと思っています。

 

「Netflixの好調の陰に見るコンテンツ産業に不可欠な要素」 

「コンテンツとは?」Netflixの好調の陰に見るコンテンツ産業に不可欠な要素

 

なぜなら、いつでも好きな時に短時間というか、分割で見れるのがネットの強みであり、だからこそ、YouTubeやニコニコ動画はある程度成功した、と僕は考えているからです

 

TVは録画をしないと、好きな時に見れません。

TVの前で待っていないと、見れないリアルタイム方式はもはや時代遅れです。

 

YouTubeは15分ぐらいが多く、気晴らしに、好きな時に見れます。

 

なのに、AbemaTVはリアルタイム方式を使っています。

 

ネットの優位性をまったく理解していません。(リアルタイムで放送された分を有料会員になれば、後で見れるようです。つまり、無料で見たかったら、リアルタイムでTVの前に座れということです)

 

また、TVは昔から存在しており、権威が確立しています。

 

だからこそ、リアルタイム番組でも価値があると思い、わざわざTVに合わせる人もいるのです。(または視聴者の中心が、機械に疎い老人(しかも暇)や、暇な専業主婦などですから、リアルタイムで見れるのです)

 

しかし、AbemaTVにはまだ権威がありません。

 

また、YouTubeやニコニコ動画は、コンテンツを作るのが素人が多いですし、安い値段でコンテンツを作らせています。

 

AbemaTVは、素人や参加者にコンテンツを作らせるという参加型の発想もありません。

 

まさに、古いTV局と同じ戦い方を、ネットでやっているのです

 

Netflixのように制作費をがんがんかけて、そこでしか見られないキラーコンテンツを大量に作れば、有料課金を持続契約する層が増えるのですが、AbemaTVはそういうキラーコンテンツを作り、有料課金する戦略ではなく、広告費でコンテンツを作るようですね。

 

TV局と、同じやり方なのです。

 

確かに、ユーザーが爆発的に増えて、持続的に視聴されれば、広告を出したい企業が増えて、その広告費で質の高いキラーコンテンツを作り、採算も合うようになるかもしれないですが、不透明すぎますし、長い道のりです。

 

僕はまず、「リアルタイム方式をやめた方がいい」と思うのです。

時代に合っていません。

 

ここで、5G時代を待っているのだ!という意見もありますが、それは合っているでしょう。

 

5G時代は動画見放題になる可能性があり、そうなると、動画の時代が来るかもしれないからです。

 

そして、動画の争いとなればTVとは引き続き、争いますし、YouTubeやニコニコ動画やNetflixなどとも争うことになります。

 

ここで勝算があるかは不透明ですが、動画の需要にパイが増えるのであれば、まだ勝機は尽きていないかもしれません。

 

次に、NetflixもAmazonPrimeもキラーコンテンツを囲い込み、成功していますがAbemaTVも、キラーコンテンツを作る路線にシフトした方がいいです。

 

キラーコンテンツ(どうしても見たいし、そこでしか見れないモノ)があると、視聴率は稼げます。

 

TVはキラーコンテンツを作りたいですし、スター(音楽にせよ、スポーツにせよ)を作り、視聴率を稼ぎたいのです。(林修池上彰のようなスター解説者も作りましたし、野球の大谷選手のような華がある人はもてはやします)

 

後は、ユーザー参加型がないのも、ネットの優位性を活かせていません。

 

TV局は一方向のメディアであり、それが弱点でした。

 

ネットは双方向であり、独自性がありますが、その独自性を活かせていないのです。

 

AbemaTVの狙いが、僕にはまったく分かりません。

「何をしたいのか?」がまったく見えないのです。

 

これだけ世の中において、アテンションの奪い合いの競合が多い中で、メディア産業を単に持ちたい、影響力を高めたいという理由が主にあって、AbemaTVを作ったとしか思えません。

 

YouTube、ニコニコ動画、Netflix、AmazonPrimeなどのネット系はもちろん、TVとも戦って、勝つつもりなのでしょうか?

 

差別化という視点はどこにいったのでしょうか?

差別化もなしに、競合に勝てるのでしょうか?

 

4 AbemaTVへの提案。

 

僕がAbemaTVに提案する案は、以下です。

 

a TVや他のネット系などがなるべく参入してこない番組作りをする。

 

AKB48は、TV局が支配しています。

 

ひろゆき氏が言うように、ジャニーズ番組はありかもです。

根強いファンがいそうです。

 

または、大学番組などどうでしょうか?

全国の主要な大学生をターゲットにした番組を作るのです。

 

見る層はその大学関係者(卒業生や在学生など)になりリーチ層は小さいですが、確実なニーズがありそうです。

 

そして、若者への投資(囲い込み)としての価値もあります。

 

大学番組なら、若者へリーチできます。

 

TV局の場合、個別の主要な大学は数が多すぎて、網羅できませんが、ネットなら可能です。

 

TV局には、老人主婦層たまに見る層(サッカーや紅白など)を任せればいいのです。

 

同じ土俵で戦ってはいけません。

 

他には企業番組などもありでしょう。

大企業が中心になるかもですが。。。 企業関係者への確実なリーチができます。

 

そもそも、ロングテール戦略はネットと相性がいいのです。

 

まずはロングテールも拾って、視聴者を確実に増やして、AbemaTVの認知と接触を増やすべきです。(そして他の番組も、見てもらうきっかけにするのです)

 

ネットはロングテールができます。

それがネットTV局の強みです。

TV局にはそれができません。

 

大学番組(数は100は超えるでしょう)や企業番組(同じく数は100は超えるでしょう)などは、TV局には無理です。(リーチ層も狭すぎて、視聴率が稼げず、採算も合いません)

 

そういうロングテールコンテンツも地道に増やしていけば、認知と接触と利用を広めることができます。

 

ところで、ジャパネットたかたは、2016年にホームページの掲載商品を約8500点から約600点に減らしたそうです。(14分の1です)

 

月に2個売れるぐらいのレベルの古い商品を登録する手間が、もったいないと思ったからだそうです。

 

Amazonや楽天は「多品種少量販売」が強みですが、ジャパネットたかたの強みは「少品種多量販売」であり、データ的には1000個の商品で売上の多くを占めていることが分かったそうです。

 

だから、600商品と絞り込んだのですね。

 

「少品種多量販売」戦略もありますが、ネットの強みとは言えない気がします。

 

どちらかと言えば、TV局やリアル店舗など、限られた棚や枠しかない会社の戦略ですよね。

 

b キラーコンテンツを作る。スター育成も。

 

コンテンツ産業の王道路線は、キラーコンテンツであり、スターです。

 

多くの人が興味を注がれる対象(キラーコンテンツやスター)があると、人は見ます。

そういう対象を、TV局は独自に育てています。

 

YouTubeも、ヒカキンを育てましたが、ニコニコ動画にそこまでのスターがいたのか疑問です。(ニコニコ動画は現在、メンタリストDaiGoがいます)

 

インフルエンサーも似ています。

多くの人が、良くも悪くも注目するという意味においてです。

 

Netflixはオリジナルドラマがキラーコンテンツであり、これが完成度が高いのです。

 

と書いていたら、リアルドラゴン桜の「ドラゴン堀江」という、ホリエモンの東大番組が始まり、僕も見ています。

 

ロンブーの淳も本気で青山学院大学に合格しようとしていたので、興味はあり、結果は気になりましたが、ホリエモンもどうやら本気で東大合格を狙っているようです。(ホリエモン自身と、弟子3人を半年で東大に受からせる企画です)

 

お遊びではなく本気だと思う理由は、ホリエモンは10月からホリエモン学校(ゼロ高等学校)を作るので、もし仮に東大に落ちたとなったら、評判が下がるからです。

名誉を賭けた勝負なのです。

 

東大に3人全員合格させたら、評判がかなり上がるでしょう。

ホリエモンが落ちたら、恥ずかしすぎるでしょう。

 

だから、本気企画なのだと思いました。(ですが、ホリエモンの合格への投入時間が明らかに少なすぎるので、本気じゃない可能性も残ります)

 

c ユーザー参加型を考える。

 

YouTubeも、ニコニコ動画もユーザーが参加できます。

ユーザーが参加できると、利用時間が増えます。

愛着も湧きます。

 

ネットの醍醐味です。TVにはできない芸当です。

なんらかのユーザー参加システムを作る必要が、AbemaTVにはあると考えます

 

5 AbemaTVの行方。

 

以下の記事をお読み下さい。

 

「テレビCMを超える可能性も?AbemaTVの広告が持つ力・ライブドアニュース」というタイトルです。

http://news.livedoor.com/article/detail/14954742/

 

一部、引用します。

 

まず、谷口氏はAbemaTVの概要を説明した。

 

AbemaTVは「無料」「会員登録なし」「24時間編成リニア型」の特徴を持ち、現在のチャンネル数は約20となっている。 

 

中でも、現在キラーコンテンツとなっているのはニュースだという。

 

何か社会的なトピックが発生するたび、臨時ニュースを放送し続けた結果、何か起こるとAbemaTVの同時接続数が上がるようになった。

 

先ほど藤田氏の語っていた視聴習慣を作れつつあるようだ。

 

また、若年層をターゲットにしたドラマやバラエティなどのオリジナルコンテンツ制作にも力を入れている。

 

具体的には、「オオカミくんは騙されない」などの恋愛リアリティーショーを数多く展開し、10代を中心とした若年層女性を多く獲得

 

現在の男女比は半々で、10代から30代のユーザーが7、8割を占める。以上、ここまで。

 

僕の提案通りに、TVの主な視聴者層とは真っ向から戦わない路線みたいですね。

 

10代から30代ユーザーが7、8割を占めるということから言えます。(若者取り込み策)

 

キラーコンテンツがニュースというのも、何が当たるかわからないコンテンツ現場を示しているようで興味深いです。

 

今後、AbemaTVはどうなっていくのでしょうかね。。。

 

ではこの辺で。(5401文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

参考・引用文献。

 

「売れる仕組みをどう作るか トルネード式仮説検証」

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